【本日の一冊】
樋口 裕一
「型」を守ると、没個性になると思われがちだが、私はむしろ逆だと考える。個性的なことを考えると、どうしても論理を逸脱し、辻褄が合わなくなり、主観的になっていく。だが、個性を守って手順を重視すると、そうしたことからまぬがれる。安心して個性的なことを織り込むことができる。その思考は客観性をもつことになる。
【感想】
本日紹介するのは、論理的にものを考える技術を「型」で学ぶ一冊です。
「型」と聞くと、「ワンパターン」というネガティブな発想をもってしまいがちですが、著者は「そんなことはない」と完全に否定します。
「守・破・離(しゅ・は・り)」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
簡単に言うと、物事を学び極めるまでの三つの段階のことです。
すなわち、
「守」とは、その型を守ること。お手本にする人、物のやり方を忠実に真似るということ。
「破」とは、その型を破ること。お手本から一歩進んで、別のやり方を試してみること。
「離」とは、その型から離れること。自分独自のやり方を確立すること。
(厳密に言えば「守」の前には、「習」とか「知」の段階があるかと思いますが)
本書は、まさにその「守」の段階にたどり着くための基本書といえるものでしょう。
本書で紹介されている、「型」は以下の二種類。
・考えをまとめる「メモの型」
・意見を述べる「論述の型」
「メモの型」
・定義
・現象
・結果
・理由、根拠
・歴史的状況
・地理的状況
・対策
「論述の型」
・第一部 主張表明
・第二部 意見提示
・第三部 根拠
・第四部 結論
この二種類の型を、「自分の考えを話す」「相手を理解する」「相手に反論する」場面でどのように使えばいいか、を具体的な例を用いて解説してくれています。
読んでいて、確かにワンパターンな気がするなぁ、というのが正直なところ。でも最初はこんなもんでしょう。
繰り返していくうちに、自分の色が出せるようになる、と著者は励ましてくれています。
本書のいいところは、型の紹介だけにとどまらず、きちんと練習問題が用意されていることです。
習いっぱなしだけでなく、実践する機会も考慮されていて、好感を持ちました。
応用例もいくつか提示されているので、十分参考になります。
【速読のポイント】
「読書のコツ」が話題になる時、真っ先にあげられるのが、「目的をもって本を読む」ことです。
目的のないままにダラダラと本を読むのは時間もかかるし効果も薄い。
大事なのは、まず「この本からは××を学ぼう」と目的を決めることです。
目的意識があると、パラパラとページをめくっているときに、目的に関連しそうな記述が不思議と目に飛び込んできます。
(最初はホントかいな、と思ったのですが、本当でした。まずは「守」ですよ。)
また、目的から逸脱した記述はばっさりと捨てることも可能です。
私の場合は、「論理の型」とは何なのかを知ること、が目的でした。
第3〜5章をしっかりと読み、第1、2章はかなり飛ばし読みでした。
フランスでの著者の個人的体験や日本人の非論理性について論じた箇所は早送りです。
【こんな人に】
・小論文の基本を学びたい人
・論理的に物事を考えるのが苦手な人
・人の意見に丸め込まれてしまう人
【関連書籍】
同じ著者による、こちらの本も参考になるかと思います。
ホンモノの文章力―自分を売り込む技術
【目次】
第1章『二項対立思考と型思考と背伸び思考』
第2章『二項対立で考えを練る』
第3章『「型」を用いて知的に話す』
第4章『「型」を用いて他者の意見を知的に理解する』
第5章『「型」を用いて知的に反論する』
第6章『背伸びをして知識を自分のものにする』
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